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5.動物のコミュニケーションと人間のことば

2010/07/24 12:38 に 2010 seibunsite が投稿   [ 2010/07/24 12:39 に junichiro inutsuka さんが更新しました ]

形態素と音素、意義の要素と体系

蜜蜂のメッセージは分析を許さない。そこにはただ一つの総括的内容しか見られず、見られる唯一の差異は報告される対象の空間的位置に結びついている。しかも、この内容をその構成要素すなわち形態素に分解し、その形態素のおのおのを言表の一要素に対応させるようにすることは不可能である。人間のことばははまさしくそのことによって特徴付けられている。それぞれの言表は、一定の規則に従って自由に結合される諸要素に還元されるので数はそれほど多くもない形態素が著しく多数の組み合わせを可能にし、ここから人間のことばの多様性、つまり、あらゆることを言い表せる幅の広さが生まれてくる。ことばのさらに徹底した分析は、これらの形態素、つまり意義の要素が、こんどは音素、つまり意義を欠いていて、もっと数の少ない調音の要素に分解され、その選別的弁別的な組み合わせ方が表意単位unite signigianteを提供することを示す。体系として組織されたこれらの空虚な音素が、あらゆる言語の基礎をなしているのである。   p68

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