YOMIKO 都市生活研究所

2010/10/22 4:31 に junichiro inutsuka が投稿   [ 2010/10/28 1:38 に更新しました ]

株式会社 読売広告社 都市生活研究所の皆さんをお迎えして、「Civic Pride」というコンセプトに基づく、都市経営上のコミュニケーション・デザインについて、欧州の都市事例を交えながらお話しいただきました。(榎本元 所長、太田あゆみさんのプレゼンテーション)

一般的な商品広告ならともかく、都市の広報という仕事、つまり、誰が誰に、何の目的で、何を伝え、どうしようというのか、ということが学生の皆さんにはわかりにくかったかもしれません。

EUでは、1999年に単一通貨ユーロが導入されたように(当初は仮想通貨)、域内における労働者、商品、サービス、資本の移動の自由を確保しようとしています。そしてそのことは、欧州各国の主要都市間の、それのみならず中小の都市の間でも、都市間競争というものを巻き起こしました。

もともとヨーロッパの国々は、国という統一体よりも、都市間の同盟や連携関係を中心とした歴史を持っています。それは、今でもありありと見えるそれぞれの都市空間構造にも容易に見て取れます(小さな町のサイズでも)。欧州連合の推進は、それぞれのアイデンティティをいっそう強く意識させることにつながったわけです。競争のフィールドがより広く意識されるようになったということですね。

僕自身は、80年代にミッテラン大統領によって行われたパリ大改造(グラン・プロジェ、パリを欧州連合の首都にふさわしいものにする)と、その後のシラク大統領のもとでの地域都市振興に興味を持ち、96-98年頃は頻繁に欧州各地を訪れてもいました。僕自身の研究テーマである、ネットワークのモデルと経営理論における一つのフィールドワークのようにみていたのです。もちろん現実のスケールと制約を持つ取り組みは、一見理論の現実化そのもののように見える事例さえ、具体的には矛盾や空洞化を抱えているものです。当時はしかし、美しく形式的な(つまり本質的な意味でヨーロッパ近代的な)面に主に焦点を合わせていたものです。それは都市だけでなく欧州のブランド企業の経営政策についても。

その後の関心は、日本の地域・企業の具体的政策への関わりへと傾斜したのですが、それでもヨーロッパ都市研究から得たモデルは展開の基盤の一つとなりました。

今回、読売広告社の皆さんからいただいたプレゼンテーションは、そのような僕自身の以前の関心を呼び起こすとともに、特に強調された、市民という主体の活性化と相互連携の仕組み作りの大切さが、現在の日本の小規模なまちづくりでも主要な課題となっていることを、あらためて再確認するように思いました。

さらにいえば、今は方向性のチェンジの先にある、有効な方法論の具体化と洗練という課題を正面から問うときでもありますね。

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